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妹はちいちゃいときから自作の鼻歌を歌詞つきでよく歌っていました。
幼稚園さんくらいには自らを「ピー子」と呼び、
母のことを下の名前で友達のように呼んでいて、
”お母さんは私がいるから大丈夫だよ”というような歌を
よく、よく歌っていました。
我が家のヒットソングです。
♪ぴいこーがーいるーからー!
♪オーラィッ!ジャンジャカジャン!オーライッ!ジャンジャカジャン!
♪オーラーーーーィ!
この前にバラードのように母へのメッセージを歌って〆がこれ。
妹によるとこれは超絶黒歴史だそうなのですが
その頃というと家族3人窮地に立たされている真っ最中のド底辺な暮らしをしていて
母は相当にしんどかった時期だったと思います。
私も子どもながらに死にもの狂いで生きていたので。
そんな中で急きょ大声張り上げて歌いだしたこれを聞いて
幾分救われてたんじゃないかなって今になって思います。
母は特に、たまに今でも口ずさんでるとこみると。
そんな妹も母になりました。
第一子が生まれてすぐに「あやしうた」を即興で作り、歌い続けていました。
不思議なことにどれだけ大泣きしても
それを歌うとおとなしくなってしまうわけです。
「これ歌うと泣き止むんや~」と。
♪○○○○はどーしたのかな?
♪なーんでなーいてるの?
♪はーはにはーわーからっないー!
♪△△にーもーわーからっないー
○○○には我が子の名前、
△△にはテキトーにその辺にいる人の名前を入れるわけで
昔と変わらず心配もクソもねえ曲調で
なんなら馬鹿にしているようなノリで歌うのですが
むかつくほどに耳に残る。
そして第二子が去年誕生しました。
変わらず第一子のうたをうたい続けましたがまったく効かず
妹の伝説も終えたかのように思ったのですが
すぐさま新作をつくりやがったのです。
♪私の名前は○○○○~
♪ほのぼのするのが仕事ですっ!ハイッ!
♪ホノボノッ!ホノボノッ!ホノボノッ!ホノボノッ!
ついに気が狂ったんかと思いました。
でもこれまた第二子はこれを聞くと泣き止むどころが笑い出すのです。
聞くところによると、それら以外にも日々新曲は生まれていて
いろんなテーマ曲があるようです。
たしかにちいちゃい時もピー子以外にめっちゃあったもんなぁ。
私は人生で出会った人間でダントツに面白い人間は妹で
結婚してもなお頭おかしいところには敬服します。
未だにそれを超えてくる人に出会えていないのですが
それを言うとシスコン!ってよく言われてしまう。
でもそうじゃないってことがこれを読んだら少しわかってもらえるかなって
ちょっと期待をしています。
本当におかしい人間なんです。
生活をしていて急にユーモアに全振りし、
またそれを自己肯定して「ええやんけ!」ってなる人間
もっと増えたらいいなって思います。
本当に貧しかった時期、本当に毎日灰色だった時期だったけど
人生でいちばん幸せでキラキラしてたなって。
私にもし子どもがいたら絶対に同じ境遇にさせたくないなと思うし
させるべきでないなと思うけど
そこで得たキラキラをじゃあどうやったら与えることができるのかなって
最近よく思うのです。